最近何かと話題のChatGPT。昨年末くらいから国内でのIT系のニュース、トピックとして扱われるようになり、今年の1月23日にMicrosoftがChatGPTを開発するOpenAIに数十億ドル規模の投資を行うと発表して世間を騒がせました。
AIが発展するたびに「AIに○○の仕事が奪われる!」という論調も見かけますが、今回のChatGPTで注目されるのがプログラムもAIによって自動生成できること。AIが話題になり始めた10年ほど前に注目されたイギリスの論文に『雇用の未来ーコンピューター化によって仕事は失われるのか』(原題:The Future of Employment)というのがありまして、そこでは「データ入力」「簿記会計」「融資」などの情報を入力・分析する仕事が“奪われる可能性の高い仕事”として、「医師」「教師」「デザイナー」など人が持つ個性、特徴、問題に根差す仕事は“奪われない可能性の高い仕事”として挙げられていました。
そして、この論文では「ソフトウェア開発者」は“奪われない可能性の高い仕事”の上位として扱われていたんですね。それがChatGPTの登場で“奪われる可能性の高い仕事”になるのでは、と注目を集めています。
ChatGPTの使い方とは?
最初にChatGPTの基本的なところをおさらいしておきますが、使い方は至ってシンプルです。公式サイトにアクセスして「TRY CHATGPT」のボタンをおしてサインアップ(アカウント登録)するだけ。メールアドレスがあればパスワードを指定してすぐに登録できます。
登録さえしてしまえば初期画面が立ち上がりすぐにチャット風にAIと対話できます。
画面に表示されている文字は英語ですが、そのまま日本語で入力しても回答してくれます。対応言語は幅広く、フランス語、スペイン語、ドイツ語、イタリア語、ポルトガル語などはある程度の水準で回答するみたいです。現在も対応言語の勉強は進めているようなのでどんどん増えているようですが、正確性については低くなるのだとか。
ちなみに、これは直接ChatGPTで聞いてみた内容です。
日本国内でもいろいろな人が「ChatGPTを試してみた」というブログをアップしていますが、人物評がぜんぜん違っているケースをはじめ間違った回答を断定的に返してくることも多いようなので日本語での検索精度はそれほど高くない気がします。とはいえ、固有名詞に対する精度が低いだけで一般名詞に対してはそこそこの情報量を返してくれるため、世間で「大学生がChatGPTに聞いて卒業論文を作成してしまう」とか問題視されているのはさもありなん、といったところでしょうか。
ChatGPTにプログラムを書いてもらう
さて、では本題のプログラミングについて試してみましょう。まずはざっくりと「PHPのお問い合わせフォーム」を書いてもらいます。最低限どの言語を使うかは指定してあげないといけないので今回はPHPにしてみました。
実際に返ってきた内容がこれです。
必要最低限の部分は抑えていますね。だだ、実際にメールを送信する部分は「ここにメール送信処理を挿入することができます」とコメントされているだけで実装されていません。メール送信プログラムと一言でいっても世の中にはプログラム言語や利用するサーバ環境、セキュリティレベルによって様々あり、これも条件を入れてあげないと具体的なコードは示してくれないのかもしれません。
と、いうことで試しにSendmailを指定してみました。
先ほどはコメントになっていた部分もちゃんと書いてくれましたね。でも、これも最低限のものです。メール自体は少し調整すれば送信はできますが、メールヘッダーという補足情報がないので使い勝手が悪く文字コード指定などもないので相手の利用環境に合わせた配慮もできません。
ではメールヘッダーも追加してもらいましょう。
メールヘッダーが入りました。といってもFromデータだけなので相手が返信する時にちょっと便利になるくらいです。もう少し情報をつけてくれてもよかったのに、と思いましたがいきなりそれは酷かと考え一度ここで処理を完了させておきます。
次に試したのはここまでやり取りしたプログラムを別のものに置き換えできるか。先ほどはメール送信プログラムをSendmaiで指定しましたが、今度はPHPMailerにしてみます。
一度お礼を言って完了にしても、続けて別プログラムへの置き換えを指示すれば引き継いで対応してくれるようです。ここまで出せれば完璧のように見えますが、実際に利用するにはセキュリティ面での配慮が必要なため入力規則を設けたり、エラーがある場合の対処方法を出せるようにしたりなど、まだ実用に耐えるものではありません。
このあともバリデーション処理やエラー対処の追記など色々と試していますが、長くなるので実際の画面の紹介はここまでにしておきます。
問題は世の潮流や設計思想をどこまで考慮できるか
結論としては現時点ではChatGPTによってプログラマーの仕事がなくなる、というのはないかと思います。少しいいかえるなら「プログラミングの知識がなくてもChatGPTを使えばプログラムが書ける」というレベルではない、ということです。
筆者のような開発経験のある人であれば、前述のようにPHPやSendmailなどの用語を知っているのでやり取りして精度を高められますが、プログラムの知識がなければ最初の質問の段階でつまづいてしまい、プログラムを完成形までもっていくことができません。
何が問題化といえば、ChatGPTは聞かれたことに簡潔に答えることを主としているように見えるため、プログラムを書いてもいわゆる十分条件を満たすものでしかなく実用面での必要条件は満たせない感じですね。今回の例で言う「お問い合わせフォーム」は入力やメール送信などに係るセキュリティなども満たしたものを求めているのですが、ChatGPTの回答はメール送信の部分しか考慮していないということです。
これが一言で必要条件まで満たしたものを答えてくれるならもうプログラマーはいらない世界が来るかもしれませんが、セキュリティの問題や入力側の設計思想などは日進月歩で変化するものなのでビッグデータを参照・解析して勉強したものを回答するという後手に回らざるを得ないAIですと推測するのは難しいのでしょう。現状だとAIの返答を添削して一つ一つ修正点を指摘していくよりは自分で最初からプログラムを書いてしまった方が早そうです。
AIの発展は夢のある話ではあるんですけれどね。ただ、予測から正確な答えが出せるAIになるとそれはもうシンギュラリティを超えたものになるので、2045年問題が的を射たものならばあと20年は先の話になるのでしょう。
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更新担当者
- チータ
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AI研究者